Sunday, October 4, 2015

2015年 生態水文学実習&森林水文生態学特論



久々の更新となりました。やはり夏になると、調査や実習のフィールドシーズンとなり、怒涛の日々を過ごしていました。実習も無事に終わり、調査も一通り終わったので、今回は9月はじめに開催された“生態水文学実習&森林水文生態学特論”についてご紹介します!

生態水文学実習は、森を介してどの様に水が循環しているのかを実際に自分で測って学ぶ実習です。農学部森林学科の4年生が対象です。でも、この実習は特別なんです。何が特別かと言うと、修士1年生向けの“森林水文生態学特論”との同時開催だからです。修士と学部生が混在したチーム編成で実習を進めます。さて、どうなることやら~


今年は大学院生が5人、学部生が3人の参加でした。研究室も学年も違う人たちでこれから4日間を闘いぬくので、まず、お互いに知り合うことが重要です。というわけで、まずはアイスブレイクから始めました! 

  

4人のグループに分かれて、15分くらい自己紹介しあって、あとで他己紹介をしてもらいます。その際、自分との共通点などもあわせて発表してもらうことにしました。みんな、自分との関連性を持つネタを探して、会話がどんどん進みます。マイナーなアーティストのことで盛り上がったり、アルバイト先の話で盛り上がったり、共通の知人がいたり、色んな事実が判明しました。

かわいい中国人留学生には様々な質問が・・・!!
昼食後、講義スタートです。この講義はなんと、修士1年生の学生さんにしてもらいます!事前に講義の課題を決め、スライドを作ってもらい、何度か教員とやり取りをして、いざ本番です。皆さん、専門でもない内容をしっかりとまとめて講義をしてくれました。学部生の学生さんにも刺激になったみたいです。

学生さん全員にひとつは質問してもらいます。
難しい質問やプラスアルファの説明は教員が行いました。


森林には降水というプロセスを経て水がインプットされます。でも、全ての雨が土壌に届くわけではありません。一部の雨は葉っぱにトラップされて、そのまま蒸発して大気に戻ります。これを遮断蒸発と言います。土壌に到達した水の一部も、樹木に吸収され、蒸散というプロセスを経て大気に戻ります。この蒸散が今回の実習の重要なテーマです。この実習では、蒸散を実際に計測します。ではどうやって蒸散を計測できるのでしょうか?

今回は、“グラニエ法”を用いました。グラニエ法とは、幹にふたつのセンサーを挿し、その一方を暖めた状態でセンサー間の温度差から上方向に流れる樹液流の速度を推定する手法です。夜、全く蒸散が起こっていないとき、樹液流速度はゼロとなり、熱が全く上方向に持ち去られないため、ヒーター間の温度差は最大になります。逆に昼間には熱が樹液流によりたくさん持ち去られるので、ヒーター間温度差は非常に小さくなります。この様な仕組みで樹液流速度を連続的に測定し、水が流れる幹断面積をかけることによって、1本の木からいつどれだけの水が蒸散されているかを知ることができます。

グラニエセンサー。手作りです。
とっても小さい。

今回は、このグラニエセンサーを実際にスギにさしてもらいました。そして、ケーブルとセンサーをつなぎ、温度差を測定・記録できるデータロガーというものに接続しました。これで、実際に樹液流速度を測定することができます。


ドリルで幹に穴をあけ、センサーをさします。
センサーをさしたら、細い電線をつなげたりします。

自動でデータを測ってくれるデータロガーにケーブルをつなげます。
センサーに熱をおくるのも、ここでコントロールしています。



ケーブルをつなげたりもします。
みなさん、慣れない作業なのに、とってもうまくやっていてびっくりしました。

無事に各チームで樹液流速度を測りたい木にセンサーを挿し終わりました!




この日は、既に観測していたグラニエデータを使って、1本の木による1日の蒸散量を計算してみました。そして、空気の乾き具合を示す飽差(VPD)と蒸散速度の関係を表すグラフも作ってもらいました。データロガーから回収した“datデータ”というファイル形式からエクセルで開き、樹液流速度を計算し、気温と湿度からVPDを計算し、VPD10分データを樹液流速度の30分データに時間を揃え、グラフが完成する頃には夜もだいぶふけていました、、遅くまで、お疲れ様です!!



というわけで、1日目が終了です。
長くなったので、2日目は次回にまわしまーす。



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