Monday, April 4, 2016

2016年調査実習Ⅱ

昨年に引き続き、今年も森林調査実習Ⅱが無事に終わりました!


森林調査実習Ⅱは、シラバスによると、

森林流域における水循環、森林での炭素循環、森林での窒素循環、森林における人間活動と物質循環に関する講義・実習を行ったあと、各班に分かれてプロジェクト(計画、データ回収、データ解析、まとめ、発表)を実施する。 

ということで、森林での物質循環に関する講義・実習・各グル―プのプロジェクトを私は担当しているので、それについて報告します。


まずは、最後の晴れ晴れとした笑顔から!


ピースじゃないよ、調査実習Ⅱの”2”を表現したのです。

でも、この笑顔の裏では、とっても大変な4日間をみんな過ごしていたのです。。。





最初の2日では、フィールドでの調査が中心です。


笠原さんのパートでは、河川流量や林内雨の量、水質の測り方を学びます。

河川の幅や深さ、流速を測ったり

森林の中に降った雨の量を測ったり
雨のpHやECを測ったりしました。



榎木さんのパートでは、森林にどれだけの炭素が貯蔵されているかを調べます。


森林土壌のA層を採取したり


計算したり。

片山のパートでは、炭素のフローを調べます。


土壌呼吸(土壌から出てくるCO2の量)を測ったり
幹呼吸(幹組織の呼吸によって出てくるCO2の量)を測ったりしました。
幹呼吸の大小を決めると考えられる辺材幅を調べるために
材をサンプリングします。

リター(落ち葉)分解実験をやるのですが、
分解の早そうなリターを選んでもらって、リターバッグを作りました。
そして、リターバッグの中にリターをつめ、土壌に置きます。
回収して結果(重量減少量)が分かるのは1年後!
データを取り終えたら、計算&計算。



1日中フィールドに出て、調査をして、データを取って、帰ってきたらそのデータ整理+解析をするというハードスケジュールでした。

そして、最終日にはグループごとにプレゼンをしてもらいます。森で取ってきたデータを使って、人工林と二次林を比較してもらいました。比較する対象物は何でもOKです。つまり、自分たちで決めなければいけません。


満を持して、いざ、最終プレゼン!


なんと、発表前夜、みなさんとってもがんばってがんばって、なんと午前3時まで発表準備をしていたグル―プもあったみたいです。。。本当にすごい、そんなエネルギー、どこから出て来るのか・・・!

みなさん、2年生の前期が終わったところで、森林の勉強を始めてまだ半年です。なので、専門知識もほとんど持っていない状況で、データをとりまとめて解釈するのはとても難しいことです。課題を高く設定しすぎているのかもしれません。でも、どのグループも、分からないところは調べたり、私たちに聞いたりして、自分たちで考えて、素晴らしい発表をしてくれました。脳みそがまだまだ柔軟なんですね、きっと。

これだけ素晴らしい発表をやってくれて、高い課題でもクリアしてくれるのを見るのは、本当に嬉しいことです。ありがとう~!




ちなみに、今年の発表は、

1班 樹木の辺材幅と幹呼吸速度
2班 土壌含水率(SWC)と土壌呼吸速度(Rsoil)
3班 樹冠通過雨によるpHとECへの影響
4判 データの変動から見た二次林と人工林
5班 森林と降雨量-EC変化
6班 二次林と人工林で呼吸速度を比較


今回は学生さんどうしのディスカッションがとっても盛んなのが特徴でした。2日目にグループで何について発表するか、テーマを発表する時間があったのですが、素晴らしく鋭い質問がたくさん出て、とっても感心しました。論理的に考えて”穴”を指摘できるということは、とってもすごいことなんです。あまりにも学生からの指摘が鋭かったので、最終発表でも、教員ではなく、学生からの指摘が出ない様にプレゼンを作りこんでいたグループもありました。笑


今回の調査実習Ⅱでは、基本的な森林の物質循環にかかわる調査を一通り学んでもらいました。そして、調査で取ったデータをもとに二次林とヒノキ林の特徴を導き出す、ということも自分たちで考えて発表してもらいました。森林という大きなものを相手にすると、明確な答えを導き出すのはとっても難しいことです。そして、それを考える基礎となる知識も必要です。

今回の実習で、少しでも森林生態系の複雑さ、面白さを知ってもらい、これからの勉強のきっかけとなってくれたらといいなと思います。

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